20世紀最大の発明の1つと言われるインターネットは、21世紀に入っても世界的に普及していくであろう。インターネットは、我々の日常生活の様々な面に変化と便利さをもたらすものである。ただし、その便利さの反面、一旦法的な紛争になると、前例のない未知の問題が生じ、また既存の法律論をそのまま当てはめたのでは妥当な結論を得ることができない場合がしばしば生じるようになる。
例えば、
など、多くの問題がある。
1990年代後半から、インターネットが爆発的に普及した米国では、上記のような問題に関し、判決例が積み重ねられてきており、また、新たな法律も制定されている。米国では、「インターネットロー」、「サイバースペースロー」、「Eロー」などと呼ばれる法律分野が確立しつつある。インターネットにまつわる日本の裁判例は、まだごく僅かであるが、今後のインターネットの普及により、その数は急増するものと予想される。その場合、日本においては先例のない問題ばかりであるから、この分野で先を行く米国の裁判例や法律を参考にする可能性は極めて高い。したがって、米国の裁判例や法律を知っておけば、日本において今後起こることが予想される同種の紛争に対する対処策や解決策を考えるのに役立つであろう。
上記のような視点から、1999年12月増田・舟井・アイファート&ミッチェル法律事務所編訳「インターネットをめぐる米国判例・法律100選」を出版したところ、読者から予想以上の反響があった。同書を出版してから1年が経過しただけであるが、この間に米国ではインターネットに関連する裁判例が多数出され、また新たな法律も制定されている。そこで、このような新たな事例を紹介するため、出版社である日本貿易振興会(ジェトロ)のご厚意のもと、この度、改訂版を出版することとなった。改訂版の出版に当たっては、初版に対して読者から寄せられた意見を反映して、大幅な改訂を行った。
主な改訂点としては、
本書が、読者の方々にとって、インターネットに関連する米国の法律問題の現状、および日本の将来の法律問題を検討する上で、いくらかでも参考になれば幸いである。